家を建てるにあたって、地震に強いかどうかは、とても大きなポイントになってきます。
どのハウスメーカーも、震度7に耐えられる。ということをアピールしています。
今の建築基準法では、震度7でも倒壊しない程度の耐震性能が求められているので、どの家も震度7程度の地震に最低1回は耐えられる耐震性能を持っています。
しかし、最近ではそれ以上の部分での争いとなっており、震度7の地震に何度耐えられるか。という世界になってきています。
熊本地震では、震度7の地震が2回連続したということもあり、より高い耐震性能を求める方はますます増えてきています。
このページでは、地震に強い家、ハウスメーカーはどこなのか。各ハウスメーカーの構造や、耐震実験、耐震等級などをもとに、紹介していきます。
地震に強い家が欲しい。という方の参考になればと思います。
地震に強い家、ハウスメーカーランキング:木造編
三井ホーム
三井ホームの木造住宅には、プレミアムモノコック構法が採用されています。
面で支えるベタ基礎、三角形を組み合わせることで変形に強いトラスフロア、木材同士を強力に接合させることができるネイルプレートといった部材を採用することにより、地震に強い家を実現しています。
三井ホームは、阪神淡路大震災で一棟も壊れなかったということで知られています。
「震度7に60回耐えた家。」というキャッチフレーズも、聞いたことがある方がいるかもしれません。
2階建てでは震度7相当の揺れを60回、3階建てでは29回加えても大きな損傷のない家です。
ミサワホーム
ミサワホームの木造住宅には、木造軸組工法が採用されています。
木造軸組工法自体は昔からあるもので、特にめずらしい工法ではありません。
ミサワホームの木造住宅に使われるMJ Woodは、性能と品質の安定した構造用集成材が採用されています。
これらの木材を、従来の木造軸組工法の約1.7倍の接合部強度を持つMJメタルジョイントで接合することで、接合部分が弱いという木造軸組工法の弱点を克服しています。
また、外壁、床、屋根には構造用合板が用いられ、強固な面を構成することで、壁の強度は従来工法の6.5倍相当となっています。
壁内部には、MGEO-Nという制振装置が採用されています。
MGEO-Nとは、テコの原理を応用した制振装置で、地震の力を効果的に制震ダンパーに伝えます。
制震ダンパー部の高減衰ゴムが伸縮することで、地震のエネルギーを熱エネルギーに変換して、揺れを制御することができます。
ダンパーに使用されている高減衰ゴムは、劣化促進実験で、約100年相当もの高い耐久性が確認されています。
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積水ハウス
積水ハウスの木造住宅シャーウッドには、木造軸組工法が採用されています。
木造軸組工法自体は昔からあるもので、特にめずらしい工法ではありません。
しかし、積水ハウスの木造住宅シャーウッドでは、確かな強度の計算ができる集成材を独自の構造用金物で緊結するメタルジョイント接合システム、基礎と柱を直接つなぐ基礎ダイレクトジョイントを採用することで、接合部の強度不足という木造住宅の弱点を克服しています。
出典https://www.sekisuihouse.co.jp
これにより、震度7相当の揺れを複数回加える実験でも建物、室内に大きな損傷がないことが確認されています。
阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震において、被災エリアに建つ積水ハウスの住宅は、全壊、半壊ゼロとなっています。
住友林業
住友林業の木造住宅には、ビッグフレーム工法が採用されています。
ビッグフレーム工法の基本となる柱(ビッグコラム)は、一般的な柱の5倍の太さを持っています。
さらに、ビッグコラムと梁、基礎を金属と金属によるメタルタッチで接合することにより、強靭な構造躯体を実現しています。
住友林業といえば、大開口、大空間の家を得意とするハウスメーカーですが、これも、5倍の太さのビッグコラムが実現しています。
東日本大震災や、阪神淡路大震災レベルの震度7を22回、震度4~6弱の揺れを224回加えても、構造躯体の耐震性が維持され続けることが確認されています。
住友林業の木造住宅には、最長60年保証がついてきます。
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一条工務店
一条工務店の木造住宅には、ツインモノコック構造が採用されています。
ツインモノコック構造とは、強固な天井、耐力壁、剛床という面で力を受け止める構造のことで、耐震性に優れ、ゆがみにくい住まいを実現しています。
壁倍率5倍の耐力壁を効率的に配置することで、ねじれの少ない、耐震性の高い家となっています。
天井、壁、床を、基準の2倍以上の釘で打ち増しすることで、これらを強固に結びつけています。
一条工務店には30年以上の実験の歴史があり、販売しているすべての商品で、実験を行っています。倒壊しないことだけでなく、地震の後も、安心して生活が送れることが基準となっています。
さらに、一条工務店では、建物だけではなく、地盤にも保証がついてくることが特徴です。
建てる前に、必ず地盤調査が行われ、地盤から基礎、建物まで、一条工務店が保証しています。
地震に強い家、ハウスメーカーランキング:鉄骨編
ヘーベルハウス
ヘーベルハウスは、鉄骨造の家には、ハイパワード制震ALC構造が採用されています。
出典https://www.asahi-kasei.co.jp
ハイパワードクロスという筋交いが、地震のエネルギーを効率良く吸収します。
また、基礎には鉄筋コンクリート連続布基礎という強固なものが採用されています。基礎全体で力を受け止め、エネルギーをバランス良く放出することができます。
基礎がしっかりしているので、洪水の時も、ヘーベルハウスの家だけが流されずに残っているニュース映像を見たことがある方もいるかもしれません。
ヘーベルハウスの外壁、床、屋根には、「ヘーベル」というALCコンクリートが採用されています。
これが、ヘーベルハウスの由来です。
これは、耐震性能だけでなく、耐火性能も非常に高いものとなっています。
ヘーベルハウスには、重量鉄骨の家もあります。
こちらは、より強く、開口部を広く取ることができます。
セキスイハイム
セキスイハイムの鉄骨造の家には、ボックスラーメン構造が採用されています。
ラーメン構造とは、高層ビルに用いられている構造ですが、それを応用した構造が戸建てに使われています。
各ユニットは工場内の自動溶接ロボットで製造されるため、高強度かつ安定した品質です。
高強度のユニットを組み合わせることにより、より強い構造体がつくられます。
東日本大震災地震波の1.75倍の加震実験でも構造体に有害な損傷がないことが確認されています。
セキスイハイムでは、「再築システムの家」ということで、解体されたラーメン構造ユニットを再利用する事業を行っているのですが、60年経ったラーメン構造ユニットも、再利用できるほどの強度を保っているとのことですから、なおさら安心ですね。
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積水ハウス
積水ハウスの鉄骨造の家には、独自の制震構造、「シーカス」が採用されています。
シーカスとは、大地震時の揺れを低減する、国土交通大臣に認定された、独自の地震動エネルギー吸収システムです。
フレームに組み込まれたシーカスダンパーが、地震の揺れのエネルギーを熱エネルギーに変換し、揺れを吸収します。
これにより、地震時の住宅の変形量を1/2以下に抑えることができます。
また、シーカスダンパーに使用されているゴムは、耐久性が高いものが使われており、耐用年数100年相当の耐久性が、試験で確認されています。
積水ハウスの軽量鉄骨造の家は、阪神淡路大震災を超えるレベルの振動実験を245回行っても、倒壊することなく、外壁の割れ、脱落がないことが確認されています。
耐震等級とは
地震の強さを表す指標として、耐震等級というものがあります。
耐震等級は、1~3があります。
耐震等級1が建築基準法のレベルを満たしているもの、阪神淡路大震災と同程度の地震で倒壊しない程度の耐震性能。
耐震等級2は、建築基準法の1.25倍の強度を持っているもので、病院や学校は、耐震等級2を満たすべきとされています。
耐震等級3は、建築基準法の1.5倍の強度を持っているもので、消防署や警察署は、耐震等級3を満たすべきとされています。
耐震等級1でも、阪神淡路大震災レベルの地震で倒壊しない耐震性能は持っているのですが、倒壊しないということと、大きな損害を受けない。ということはまた別で、耐震等級1の家が、阪神淡路大震災レベルの地震にあえば、その家には住めないくらいの状態になってしまいます。
また、2016年の熊本地震では、震度7の地震が2回連続するという未曾有の事態となり、耐震等級2の家でも全壊する例がみられました。
熊本地震でも、耐震等級3の家は、全壊、倒壊といった大きな被害は見られなかったため、最近は、耐震等級3を最低基準にすべき。といった議論もあります。
ただ、最近のハウスメーカーの住宅は、耐震等級3を満たしているのは当たり前で、その上の争いとなっています。
ここで紹介したハウスメーカーの家は全て耐震等級3を満たしていますし、ローコスト住宅でも、耐震等級3を満たしている家は珍しくありません。
ですから、耐震性の高い家選びをするにあたっては、耐震等級は全て3で横並びとなってしまうので、あまりあてになりません。
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地震に強い家の構造、特徴
ここまで、各メーカーの特徴的な工法を紹介しましたが、一般論としての地震に強い家の構造、特徴も紹介しておきます。
同じ工法であれば、ここで紹介した条件に合致する家の方が、地震に強くなります。
地震に強い家の構造
・耐震構造
耐震構造とは、柱、梁、床、屋根などを強固にすることによって、揺れに耐えることができる構造のことです。
このページでは、プレミアムモノコック構法、ビッグフレーム工法、ツインモノコック構造など、様々な構造を紹介しましたが、各社それぞれの耐震構造を持っています。
・制震構造
制震構造とは、建物の壁の中に揺れを吸収する装置を設置し、建物の揺れ、歪みを抑える構造のことです。
このページで紹介したミサワホームや、積水ハウスの家は、制震構造となっています。
・免震構造
免震構造とは、建物と基礎の間に免震装置を設置し、免震装置が揺れを吸収することで、建物の揺れを抑える構造のことです。
タワーマンションなどに多く採用されている構造で、戸建てではあまり一般的ではありません。
このページでは紹介していませんが、三菱地所ホームには、戸建て向けの免震システムがあります。
地震に強い家の間取り
・正方形に近い形が、地震に強い
家の形は、正方形に近い方が、どの方向からの揺れにも強いため、地震に強い家となります。
・耐力壁が多い方が、地震に強い
大きな部屋が一つあるよりも、狭い部屋が複数あって、その間に耐力壁が入っている方が、地震に強くなります。
・総二階の方が、地震に強い
部分二階の家よりも、総二階の家の方が、家全体のバランスが良く、柱の位置も一階から屋根まで貫きやすいので、地震に強くなります。
鉄骨の方が耐震性能が高いとは限らない
木造と鉄骨造を比較すると、鉄骨造の方が耐震性能が高いというイメージを持っている方は多いかと思います。
実際のところ、そんなことはなく、木造住宅でも鉄骨造(軽量鉄骨)と同等の耐震強度を持たせることは可能ですし、造りによっては、木造住宅の方が耐震性能が高くなることも珍しくありません。
耐火性能に関しては、木と鉄の特性の違いから、鉄骨造の方が高くなります。
木造住宅と鉄骨造住宅の特徴や違い、メリット、デメリットに関しては、長くなるので、また別の記事で解説します。
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地震に強い家は、高い?
さて、ここまで紹介したハウスメーカーは、全て、大手のハウスメーカーばかりです。
いわゆる、ローコスト住宅は出てきません。
当然といえば当然のことなのですが、ローコスト住宅は、コストを抑えるために、耐震性能も抑えられています。(抑えられていますと言っても、最近では耐震等級3は珍しくありません。)
震度7に耐えることができる性能は持っているのですが、それ以上の余裕の部分が、大手ハウスメーカーとは違ってきます。
コストを取るのか、地震への強さを取るのか。これはもう、個人の価値観になってきます。
住宅の耐震性能というのは、設備、オプションとは違って、後から変えることはできません。
(耐震補強という手段はなくはないですが、そんなことをするくらいなら、はじめから耐震強度の高い家を建てるべきです。)
ですから、少し背伸びをして手が届くのなら、より耐震性能が高い家を選んでおくことをおすすめします。
その方が、結果的に長く住むことができる。ということにもつながります。
実大振動実験とは
耐震性を重視しているハウスメーカーは、実大振動実験をしています。
実大振動実験とは、実物大の家に、大地震相当の揺れを加えて、損傷の程度を確認する実験のことです。
たとえば、三井ホームの「震度7に60回耐えた家」などというのは、実大振動実験で震度7相当の揺れに60回耐えることができた。ということです。
実大振動実験の結果も、ハウスメーカーによって発表の仕方に違いがあり、躯体に損傷が確認されなかったことを発表するメーカーもあれば、外壁や床にも大きな損傷が確認されなかったというところまで発表するメーカーもあります。
躯体に損傷が確認されなかった。というところまでしか発表していないメーカーの耐震性能が低いというわけではなく、直接比較するのが難しいというのが現状です。
たとえば、住友林業の家は、東日本大震災や、阪神淡路大震災レベルの震度7を22回、震度4~6弱の揺れを224回加えても、構造躯体の耐震性が維持され続けることが確認されています。との発表がされていますが、決して耐震性能が低いわけではありません。
ここで紹介したハウスメーカーの家であれば、家具の地震対策をしっかりしておけば、阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震レベルの揺れを受けても、住み続けることができると考えて良いでしょう。
地盤や間取りによっても、耐震性能は変わってくる
注文住宅の耐震性能は、同じメーカーであったとしても、地盤や間取りによって変わってきます。
ここまで紹介したように、在来工法ながら高い耐震性能を実現しているハウスメーカーや、新しい技術を使うことで大開口、広い空間と高い耐震性能を実現することができるハウスメーカーなど、各社に特徴があります。
建てたい家の特徴によって、あなたに合ったハウスメーカーは変わってきます。
最適なハウスメーカーを選ぶことが、満足のいく家づくりにつながります。
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これからマイホームを作ろうと考えている人、リフォームをしようと考えている人、移住やライフスタイルの悩みや迷いを解決することができるような情報を発信します。